**<エンゼル・ギア>の世界観で小説**
”失うモノはいくつあるのか”
〜1.ぎりぎりの防衛〜
−−横田基地−−
 仰木 孝 オペレーター(管制官)
「萩原・来栖機沈黙しました!ドライバーおよび、ナビゲーターの生命反応ありません!」
 桂木 景子コマンダー(指揮官)
「安田機後退してっ!」
 安田夏美/ギア・ドライバー
「萩原のカタキ取らなきゃダメでしょーが!
それに、私たちまで後退したら誰が基地守るの?」
 桂木 景子コマンダー(指揮官)
「いま、瑞穂に援軍要請はしている。数刻持ちこたえれば追い返すことができる。
今、無理してあなた達まで落ちたらどうするの!」
 安田 明美(安田機・ナビゲーター)
「大丈夫って!私たちに任せて」
安田夏美は 自身のヴィークル・シュネルギア:シュトルムに搭載されているカウンターソードを
かまえると天使兵に突撃していった。
 安田夏美/ギア・ドライバー
「萩原のカタキ!食らいなさい!」
 安田機のカウンターソードは、吸い込まれるように天使兵に当たっていく。
 安田 明美(安田機・ナビゲーター)
「お姉ちゃんっ今よ!」
 安田夏美/ギア・ドライバー
「ええ。これで、とどめ!連撃っ!!」
 安田機の2度目の攻撃も難なく天使兵に当たる。
 先に撃墜された萩原・来栖機が与えたダメージのおかげだろうか。
 それとも、カタキを取ろうとする安田機の想いのためか。
 安田機の連撃の前に、天使兵は静かに崩れていった。
仰木 孝 オペレーター(管制官)
「天使兵、沈黙しました!」
 桂木 景子コマンダー(指揮官)
「(感情をころしながら、たんたんと)安田、良くやりました。基地に帰還しなさい。
回収班は萩原機を回収しなさい。コックピットの中じゃ、冷えてしまうわ。」
 安田機は萩原機を抱えながら、基地に戻っていく。 
ドライバーもナビゲーターも死亡したヴィークルは、全く反応すらしなかった。

 安田夏美/ギア・ドライバー
「(小声で)死ぬか。エンジェライズ(天使化)するか。どっちも嫌な選択肢ね・・」

 回収班のトラックが安田機から萩原機を受け取る。
これから整備場でコックピットを洗浄し、次のパイロットが来るのを待つだけだ。
 安田 明美(安田機・ナビゲーター)
「誰かが棺桶って言ったけど、私たちの機は棺桶じゃないよね?お姉ちゃん」
 明美の高い声が安田機に響いている。
だが、夏美は不安におびえていた。自分の中から来る、微かな”熱いモノ”に・・。
〜続く〜