<香山>
壱 住職出座

−0 キャラ紹介
 
*香山 修三/カヤマ シュウゾウ(火炎術士)

*牧野 修次/マキノ シュウジ(甲野山 符術師)
 土御門を主とする甲野山出身の符術士
 
*香山 蛍/カヤマ ホタル(修三の孫娘)
 
 
−土御門/ツチミカド(甲野山 盟主)
 先の人魔大戦での英雄の一人。
 火炎士・風法師・水龍人の3人と共に四元帥とよばれる

[甲野山]
人魔大戦後 土御門が編成した退魔士の連合。
 今回の魔族の地上侵攻にいち早く対応している
 
{退魔士}
 魔族と戦うことを生業とする人々の俗称。
使用する武器などによって いくつかのグループに分かれている

<低級魔> 餓鬼/ガキ LV-1
いろんな種類がここでは雑種を採用。
 背丈=小学生、顔いっぱいに広がった大きな口、
風船でも入れたかのような大きな腹、浅黒き肌の人
 
香山始動 目次
0 キャラ紹介
1 招かれざる”客3 符術士”牧野”登場
2 錫杖は火焔放射器? 4 香山始動

 
−1 招かれざる客
 北条市内の学校にとある老人が居る。
数十年前の、人魔大戦において火炎士として先陣を切っていた人物であるが誰も知らないことである。
もっともその大戦すら一般人の知るところではないのだが・・・。

 さて、平凡な日常の北条第3小学校の 警備員室だが、今日は一風変わった客がきていた。
 香山 修三はその客と対峙していた。
 まあ、その客の背丈と言ったら小学生そこらなのだが、何が違うかと言ったら、顔いっぱいに広がった大きな口、
風船でも入れたかのような大きな腹、浅黒き肌の人だ。
 むろんこんなのが”正常な人”なんて言うお方は居ないとは思うが。
 ”魔”の中でも数の多い”餓鬼”というヤツである。(ガキじゃないぞ)

−2 錫杖は火焔放射器?
 
 修三「ふぉふぉ、最近のガキ共は何を食べて居るのかのう?不健康きわまりないぞ?」
 
 このジーさん。餓鬼とガキをかけて言ってるのか、ただ単にぼけてるだけなのかわからん

 修三「家では親が心配して待っておろうに。どれ、素直に家に帰らぬ子は拙者が家に送り届けてやろうかの」
 
 そう言うとジーさんは 手に持った錫杖をブンと餓鬼共に向けてなぎ払った。
 すると錫杖の先からなんと、炎が吹き出して餓鬼共をなめていくではないか!
 その炎を浴びた餓鬼は一瞬のうちにしてハイになってしまった。

 修三「おや、素直に帰ってくれたか。うむ よろしい」
 
 その”能力”は強そうだ。なぜなら、ただの棒きれの錫杖が、火焔放射器よろしく火を出したからだ。
 あっさりと餓鬼を一掃したるジーさんだが・・・
 

 おい、その背中におんぶしているヤツは何だ?
肌黒い小人がその口いっぱいで笑ってるぞ?
 
−3 符術士”牧野”登場
牧野「香山! 危ない!! 餓鬼め食らえ、炎の矢!!!」
 
 っと、そのときスーツの男が矢を、住職の背中にいる餓鬼に打ちつける。
 餓鬼は短い断末魔を上げるとすうっと消えていった・・・。

 
 修三「おや?肩が軽くなったのう。肩こりが治った用じゃ」
 
 ダメだこりゃ。どーやら天然ボケ老人らしい。
 
 牧野「住職。いつまで遊んでおいでですか?過去の四元師ともあろうお方が、
    こんなところでぼけごっこされるとは。火炎士の名前が泣いておりますぞ」
 修三「ん〜? 土御門の若いもんか。ワシは隠居の身。もはや戦いに行こうとは思わぬ」

 牧野「香山様、土御門様が申しますには、魔の者たちが、ふたたびこの地上目指して行動を起こしたので、
  この事態に対して全国の退魔師は連携して地上界を魔の手に渡さぬ用に、とのことなのです。
  そして、そのキーパーソンとして『前大戦の主軸であった四元帥に出馬を要請せよ』とのご命令なのです。
  四元帥 炎術士 香山様、どうか、ご出馬願います!」
 修三「(きっぱりと)いやじゃ。それにワシはあの力は封印したのじゃ。ここに居るのはただのボケ老人じゃ」
 牧野「では、せめて、退魔師の象徴としてでもご出陣くださいませ。英雄が一人でも居りますれば全国の退魔師は喜ぶことでしょう」
 修三「すまぬが牧野殿、わしはもう何も失いたくないのじゃ。どうかお引き取りくだされ」
 牧野「では、住職様は<戦う術の無き者>は死ねばよいとおっしゃるのですか?
    奴らは今、戦闘力のない一般人にも攻撃をしておるのですぞ!」
 修三「・・・」
 

 修三「牧野殿、ちょっと待たれよ」
 稲造はいきなり話の腰を折った。誰かが来るのを察知したらしい。
 
 「おじいちゃーん。ごはんできたよ〜。あ、お客様 いらっしゃいませ」
  年は八〜九歳くらいか、目に入れても痛くないかわいいお嬢さんだ。
 
 牧野「おや?こんにちは。元気が良いね〜」
  牧野も普通のお兄さんみたいににこやかに振る舞っている。
 
 修三「鈴音、おじいちゃんは後で食べるからよけておいてくれるか?」
 「はい、おじいちゃん。でもちゃんと食べてよね?蛍が、がんばって作ったんだから」
 修三「うむ。わかっておる。後で かならずたべるからの」
 「うん。じゃあ、ご飯よけておくね。お客さんごゆっくりど〜ぞ」
 
 そう言うが早いか蛍はもう母屋の方へ去っていった。
 
 
 
−4 香山決意
 牧野「お孫さんですか・・・。かわいいですね」
 修三「先の大戦で失ったしなった娘の子じゃ。
   わしは、あいつを守るため、ここにとどまろうと思うておったのじゃ。 じゃが、
   攻めるは最大の防御なり。先にきゃつらを滅ぼしてゆっくりするのも良かろうて。
   牧野どの、ワシは蛍の未来のために戦うとするぞ。」
 牧野「御出陣いただけますか!ありがたきお言葉!では、いますぐ甲野山に参りましょうぞ」
 修三「ワシの力の封印を解くには時間がかかるが、先にせねばならぬ事がある。必ず甲野には行くと主に伝えておいてはくれぬか?」
 牧野「わかりました。では甲野でお待ちしております」
 
 そう言うと牧野はその場に一枚の符を残し姿を消してしまった。符術の移転術である。
 
 修三「町中に先ほどの親玉みたいなのが居るな。さて、ヤツを封じて安全を確保せねばの。
    蛍、出かけて来るぞ」
 蛍「(遠くで)は〜い。おじいちゃん気をつけてね〜」
 
そして、修三は杖を片手に町の中に進んでいった
 

壱 <香山決意> 終
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