〜〜2.絶望と希望〜〜
−−横田基地・司令部−−
 桂木 景子コマンダー(指揮官)
「萩原君と来栖さんに黙祷。」
司令部では先に戦死したギアドライバー萩原と
ナビゲーター来栖に黙祷を捧げていた。
 今回の防衛戦で失ったモノは大きく、次の
攻撃に耐えれるか不安な状態であった。
 桂木 景子コマンダー(指揮官)
「各員持ち場に戻り、修復作業を急ぎなさい。
仰木君、現在の状況を。」
 仰木 孝 オペレーター(管制官)
「桂木指令、現在横田基地の戦力は戦車部隊・・」
 淡々と読み上げられていく残存兵力。
被害はかなりなモノであった。
 天使兵に対抗しうる切り札<シュネルギア>の
パイロットとオペレーターを同時に失ったのだ。
 そして、さらなる情報が舞い込む。
 仰木 孝 オペレーター(管制官)
「それと、浅田夏美ドライバーに、天使化反応が
出てます。かなり、危険な状態です」
 桂木 景子コマンダー(指揮官)
「な、なんですって。(しばらく無言)
 ・・。萩原君を亡くして夏美まで奪ってくの?
シュネルギアは天使兵に対抗できる武器なのに、
なんで、彼らの命を奪っていくの・・?
シュネルギアは彼らの命がエネルギーなの?」
 桂木は、力無く机に倒れ込む。
しかし、桂木に追い打ちをかける事態が起こった。
 仰木 孝 オペレーター(管制官)
「D地区に天使兵反応!」
 桂木 景子コマンダー(指揮官)
「なっ!次が来るのが早すぎる!!」
 仰木 孝 オペレーター(管制官)
 「現在、戦車部隊が自己判断で迎撃準備中。」
 桂木 景子コマンダー(指揮官)
「基地のシュネルギアが使えないときに・・。」

 横田基地には 人間型汎用決戦兵器、
通称<シュネル・ギア>が2機配備されている。
 しかし、つい1時間前に天使兵の攻撃を受け、
1機のドライバーとナビゲータが死亡。
1機のドライバーは天使化寸前の状態なのだ。
 かろうじて、天使化をまぬがれることはできたものの、もはや戦闘できる状況ではなかった。
 桂木は本部の瑞穂基地に緊急増員を求めていたが、すぐ到着できるほど近い距離ではなかった。
 桂木 景子コマンダー(指揮官)
「増田基地からの機械化兵に出動要請!!」
 仰木 孝 オペレーター(管制官)
「増田機械化兵からの通信です。繋ぎます」
 ヴォウル(機械化兵)
「増田機械化兵駐屯基地所属 ヴォウルだ。
30分いや、20分で行く。それまで耐えてくれ」
 桂木 景子コマンダー(指揮官)
「何とか持たせてみる。だけど早くお願いね」
 ヴォウル(機械化兵)
「了解。できる限り加速していく。俺がついたときには壊滅していたなんてことになるなよ」
機械化兵の駆るフライングユニットはシュネルギアほどでは無いにしろ天使兵には、それなりに有効なのだ。
 そして、通信は終了したが、天使兵に対して機械化兵の装備では決定打にはならない・・。
 その決定打になる、シュネル・ギアは 基地にはあってもそれを使えるドライバーが居ないのだ。
 桂木 景子コマンダー(指揮官)
「瑞穂基地に繋いで! 増員ドライバーの
到着時間を確認します」
 仰木 孝 オペレーター(管制官)
「了解。瑞穂基地繋ぎます」
 ヴィヴリオ(瑞穂基地)
「瑞穂基地のヴィヴリオだ。横田基地へのギア・
ドライバー1名の緊急配備手配はすんでいる。
到着はあと1時間の予定。なお、緊急措置として、
横田基地付近に居るスカウトから未訓練のドライバーを配備する。この未訓練ドライバーの到着は
30分を予定。ギアの操縦など簡単なことは移動中にスカウトが教えている。
 これが、こちらとしてはできる限りの措置だ。桂木指揮官の健闘を祈る」
 わずかな光ではあるが<20分持たすことができれば>防衛はできる。
 逆を言えば、20分は基地の戦車隊で押さえねばならないのだ。しかし、現兵力では10分が限界だろう。
残りの空白の10分の間に 横田基地は耐えることはできそうになかった。